総合建設サービス・人材育成のアイアール株式会社

3A宇田川社長が語る、「建設業」と「今後」

アイアールでは、未経験で建設業界に飛び込んだ社員のために、研修制度を設けています。この研修の東京支部の講師を担当している、株式会社3A(スリーエー)代表取締役 宇田川 あやのさんと、アイアールの人事部長、加藤が対談を行いました。

株式会社3Aは、CADスクール、建築図面作成や、リフォームなど建設に関わる様々な業務を手掛けています。代表である宇田川さん始め、スタッフの皆さんの建設業に対する知識の幅広さ・豊富さから、アイアール東京支店の研修の講師を一任しています。

宇田川さんは、これまで建設業一筋。施工管理技術者から、積算、設計、CADオペレーター、自身の結婚・出産、起業などを経験され、今もパワフルに前に進み続けています。宇田川さんの経歴を紐解きながら、「建設業」と「今後」をキーワードにお話を伺いました。

建設業。ミスを曖昧にできない厳しい世界ですが、そこで働く人は人間的で優しい

―― 早速ですが、建設業のどんなところに魅力を感じていますか

やっぱりチームワークで大きな建物を作りあげていく、モノづくりの喜びが一番です!
こんな精神論、経験のない方には信じてもらえないかもしれませんが、携わっている一人一人が、「いいものを作りたい!」と本気で思って取り組まないと、いい建物が立たないんです。お金をもらっているから、仕事だから、ではなく、全員が協力しないとできない仕事、それが建設業です。だからこそ難しい。でもすごくやりがいがあります。

初めて携わったビル建設のプロジェクト終了後、完成した建物を見に行きました。自分が関係したビルに、家族連れやカップルがおしゃれをして特別な日の食事に来ているのを目の当たりにし、言葉にできない感動がありました。

―― すてきなエピソードですね。では、建設業で働くとはどういうことでしょうか

建設業で働いている人って、すごく「人間的な生活」をしているな、と思うんです。そして、そこで働いている人たちは、厳しさの中にも優しさがあると感じています。
早起きして現場に入って、10時と15時にはお茶休憩の時間があって…。工事現場ってすごく集中力を使うんです。高所作業している方々は、2時間作業したら、相当の集中力を使ってますよね。
だから、時間になったらしっかりリラックスするためのお茶の時間が必要です。
会社員の、座ってディスプレイを見る、という業務とはまた違う。建設業は、頭と体を適度に使う仕事です。人間らしい生活ってこれだよねって思います。

今はかなり改善されていますが、建設業はデスクワークに比べれば危険の多い職場です。そんな現場で厳しさを持って仕事をしていないと事故を招きます。
気を使って曖昧に「いいよ、いいよ」で済ますと命取りになる。ミスや手抜きや甘えが許されない、張り詰めた世界だと思います。でも、そこで働いているのは、人間的にとても暖かくて素朴な人達です。
そういうところも建設業の魅力ですね。

―― 宇田川さんが建設業を志したきっかけは何だったんですか

もともとモノづくりに興味がありました。間取りを見るのが好きだったので、自然に建設業で働きたいと思うようになったのではないかと思います。私が学生の頃は、男女で、技術科、家庭科、と授業が分かれている時代だったので、建設や設計については、技術の先生に頼み込んで授業の内容を教えてもらったりしていました。
そのころから、モノをつくりたい、建設現場で働いてみたい、普通の女子とは違う気持ちがあったと思います(笑)。
高校卒業後、そのまま一戸建ての施工管理の仕事を始めました。右も左もわからない女の子がいきなり建設現場、今よりもっと男性社会だった業界に飛び込んだので、現場でも、周りにもとても驚かれました。
施工管理の最初の仕事は、現場の掃除でした。写真を撮ったり、現場監督に付いて歩いて仕事を覚えたり、領収書を集めたり…建設業は地味な作業が多いことに驚いたことも事実です。
2年間施工管理をやってみて、自分には知識が足りない、ということに気づきました。そこで、専門学校への進学を決めました。このころから、いつか自分の力で起業したいと考えていました。

―― 就業してから専門学校に行ってみて、よかったことはありますか

現場経験のない同級生たちは、教科書で見ただけの工具や資材のことを理解することが難しかったのではないかと思います。私の場合は、実際に現場で見てきたものを、おさらいできるいい機会になりました。

がむしゃらにやってきた20代、30代。子育てから、現在のキャリアへ

―― 専門学校卒業後、ゼネコンに就職され、施工管理とは全く異なるデスクワークをされたと聞きました。

はい。建築積算などの事務作業を中心に行っていました。大企業で建設業に携わるのは初めてでしたので、驚くことが多かったです。社員研修で訪れた現場の朝礼で、300人以上の作業員さんが集まる中、拡声器を使っていたのを見たときは、規模の大きさに驚きました。
この会社で、誰でも知っている大きなホテルや、オリンピックで使われた競技場を手がけました。
ゼネコンに勤めて感じたのは、完全に男社会だということです。女性は女性の仕事を、男性は男性の仕事を、という形で仕事をしていました。
一生建設業で働きたいと思っていましたが、当時はまだまだ結婚や出産のタイミングで退職するのが当たり前、という空気がありました。そのため、私も結婚を期に退職しました。当時から、子育てや介護といった様々な規制を受ける人が働ける職場を作りたいという思いがあり、起業への思いがいっそう強くなりました。

―― 結婚、出産という大きな節目で、どのように建設業に向き合って来られたんでしょうか

退職してからも、何とかして建設業にしがみついていこう、と思って、自宅で図面を書く仕事を退職前の仕事のツテで受けることにしました。建設業に身を置いた時点でいつかは起業、と思っていたので、自宅で出来て、資本金がいらないこの仕事は最適でした。
それからは、子どもを育てながら、図面を書く、というハードな時期でした。片手で子どもを寝かしつけながら、片手でマウスを握りしめて図面を書いたり…今思うとよくやったなと思います。
子どもがいると、自分以外のことで仕事相手に迷惑を掛けることがあります。それが心苦しくて、悩むこともありました。

―― その後大学にも通われていますよね。子育て、仕事を両立させながらの通学はいかがでしたか

図面の仕事を始めて、株式化して仕事を続けていくにつれ、さらに学びが必要だと感じるようになり、大学進学を決めました。周囲の協力もありなんとか卒業できたのですが、この時も大変でした…笑
専門学校の単位が一部認められて、大学は3年間で卒業できました。子どもの面倒を実家に頼みながらの通学で、周りからは、「産み逃げだ!」なんて言われたりして…。

実家の支援だけでなく、地域のシルバー人材を活用して、子育てや家事のお手伝いをお願いしていました。「自分の子どもを人に預けてまでやらなくちゃいけないことなの?」と言われたことも。
でも、自分が限界を超えた状態でピリピリ子育てをしているよりも、子どもにも家庭にとっても良かったのではと思います。落ち着いたおばあちゃんたちに囲まれて過ごした子どもたちはとても穏やかでしたし、子どもが成長した今も親戚のようなお付き合いが続いています。

今、働きながら子育てしている人には、もっと地域のサービスを活用するように勧めたいですね。支援してくれる手があれば、遠慮なく頼った方がいいと思います。あとは、世間の常識を鵜呑みにして苦しまないでほしいです。

そうやって、がむしゃらに子育てと仕事に向き合っていると、お客さんから「子どもが3人もいて、子育てしながら仕事しているのに、男性と同じ仕事が返ってくるなら、あなたの方が優秀だよ」という言葉をかけてくれる人が現れました。その言葉は本当に嬉しかったです。

建設業界の今後

―― 建設業の今後、どうなっていくと考えていますか

実は心配していることがあります。建設業から、職人や技術者がいなくなるのではないかと…。今よりもっと加速度的に人材が不足していくことが心配です。
建設業だけでなく、日本は少子高齢化が進んで人手が不足していますが、建設業は現代の若者には受け入れられにくい要素ばかりがクローズアップされる業種です。「3K(「きつい」・「汚い」・「危険」)」なんて言われますし、デスクワークに比べて肉体的に大変なことは事実です。そこにあえて飛び込んでくれる若者が少ない。
2020年東京オリンピック・パラリンピックをピークに建設の需要が止まると予想されていますが、仕事が減るペースよりも、人の減るペースの方が速いのではと考えています。
だからこそ、3Aで、建設に関わる人材を育成したいと思っているんです。

―― 建設業に携わる人材の不足は深刻な問題ですね。どうしたら解決できると思いますか

地道に訴えていくしかないのではと思っています。建設業が体を使う仕事なのは事実です。
でも、30歳くらいの一番人生に迷いを感じる年齢からでも、モノづくりという大きな仕事に関われる素晴らしい業種でもあるんです。モノづくりをしたい、という情熱って多くの人が持っている気持ちだと思います。その人たちに訴えていく。そういう人材を育てていくことこそが、私たちの使命だと感じています。

―― 建設業に向いている人ってどんな人でしょうか

若者としての楽しみが落ち着いて、20代後半くらいから、これからは仕事を頑張ろうと思っている人にはいいんじゃないでしょうか。建設業は、朝早く、厳しい言葉を掛けられたりする職場ですが、現場で見るもの、経験することの全てが後の大きなキャリアに繋がります。モノづくりに直接関われますし、仕事としては安定しているのでお勧めです。
興味がある人に、勇気をもって飛び込んできてほしいですね!

―― 現在、3Aさんで様々な建設業に特化した事業を展開されていますが、スクールに通われる方をご覧になって感じることはありますか

スクールには色々な方が通ってくださっています。男女比は半々くらい。CADなので、女性の受講者が多いと思っていたので、これは意外でした。
よく感じているのは、人間はやりたいことを迷いながら見つけていく、ということです。だいたいみなさん30歳くらいで迷い、悩みだすんだと思います。そこから、自分のこれからのキャリアや人生について真剣に考える時期ではないでしょうか。
女性なら、結婚・出産した後、手に職がほしいとか、自分に足りない技術はなんだろうとか、そういうことを考えだすのは30代以降なのかもしれません。私のスクールに通っている方は、それぞれ目的意識を持って来ている方ばかりです。
手に職を付けて安定して働くには、CADはおすすめの仕事だと思います。

自分は若い頃から建設業に入って、ずっとこの仕事をしてきました。以前に比べれば、少しずつ女性にも働きやすいような制度が整備されてきています。妊娠中や小さい子供の子育て時期以外なら、女性でも施工管理の仕事はできると思いますよ。
もっと女性にこの業界で活躍してほしいと思っています。

宇田川さん、ありがとうございました!

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